君の名は希望

優馬くんの名前は希望と今 知った

ABKAI2017「石川五右衛門~外伝」

なんだかんだ、合間を縫って一公演だけ見に行くことが出来ました。
シアターコクーン
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優馬くんと海老蔵さんが剣を交えている姿は、まさに絶景でした。
こんな未来があるなんて、まさかなあと思いながら見てしまった。
ひとりで活動し始めて早3年が経とうとしているけど、これからどこへ行くんだろうと漠然と見守っていた頃からは想像できない現実で。
優馬くんの今までの色んな努力や経験が、きちんと舞台の上で生きているなあとひしひしと感じて、漠然としていたあの頃もひとつも無駄にしていないなと実感しました。
それくらい着実な未来に辿り着いているなという成果の表れた舞台だったんじゃないかなあ。

優馬くんも初めての歌舞伎だけど、私にとっても初めての歌舞伎。(むしろ優馬くんは一度ぴんとこなで触れているから、私の方が素人かもしれないけど笑)
とっても楽しかった!煌びやかで華やかでこれぞエンターテイメントという真髄を見せていただいたような気がしました!
決して優馬くんの出番は多くはなかったけど、海老蔵さん扮する五右衛門と対峙するというとっても見せ場の多い役を頂いていて、満足度は十分でした。
そして白塗りの優馬くんは見慣れなくて新鮮だったけど、白粉をしてもそのお顔の麗しさは健在で。特に横顔が本当に美!だった。
優馬くんって顔立ちがハッキリした「美しさ」だからあんまり儚くみえたりしないし、むしろ強気そうに見えたりすると思うんだけど、今回はその意志の強さがすごく十兵衛という役柄に合っていたなあと思いました。
あとこれはもう今しかない特権だと思うけど、若さからくる艶とハリたっぷりな美しさみたいなものが、十兵衛の青さとなって滲んでいて、今の優馬くんにぴったりだなあとも思いました。
そして役も少し優馬くんと重なるなあなんて。
真っ直ぐで純粋で、芯が強い青年。でも偉大な父の後を追っているはずなのに、自分の信念とのすれ違いに気付く。
そんな真っ直ぐに生きられない現実に、真摯にひたすらに向き合いながら、不器用に自分の我を通していく。
こういう時、優馬くんもきっとこうするんだろうなあと思いながら十兵衛に思いを馳せていました。
そんな十兵衛ゆうまくんに、五右衛門が掛ける「自由になる覚悟はできたか?」ってセリフがまたニクいんだよな~!!
自由に軽やかに飛び回る盗賊・五右衛門と違って、いろんな責任やしがらみを抱える跡取り息子・十兵衛。
きっと心のどこかでその軽やかさに憧れ羨む部分もあるんだろうけど、責任を果たしそして繋いでいく覚悟もまた、十兵衛が自由に選んだ道。
もっと楽に生きる方法もあるんだろうけど、それでも柳生の名を継ぐ覚悟と責任を背負って「お相手仕る!」と叫ぶ十兵衛をどうしても応援したくなるのです。
その十兵衛のバックボーンと優馬くんの人柄とを照らし合わせながら見るのもまた、楽しめた理由の一つでもありました。

そして一番これが大事だと思うんですけど、きちんとABKAIの世界観や初めての歌舞伎を楽しめたのは何にも不安要素がなかったからというのが大きかったです。
舞台に立つ優馬くんに対して、何一つ不安になったり緊張したりすることがなかった。ちゃんと歌舞伎の世界に馴染み、浮くこともなく十兵衛として生きていたから余計なストレスなく見ることが出来ました。
これって本当にすごいことで、短い中で優馬くんがたくさん努力し稽古した証なんだろうなと思いました。
そして同時に自分のソロコンで「余裕でやってるように見せなきゃ。お客さんを不安にさせるのが一番アカンから。」と言っていた優馬くんを思い出しました。
私、優馬くんがこの感覚を持っているって知れた時、すごくうれしかったんです。そしてすごく信頼した。
この人は余裕を作ってステージに立つ人なんだ、と。そしてそのための努力や、練習を惜しまないんだと。
今回もきちんとそれを体現していたなあと思います。だから安心して見れたし、絶対これからの優馬くんの肥やしになると確信できた。
所作や、セリフ、立ち回り、すべてにおいて歌舞伎の世界として見れたこと、すごく誇らしかったです。
何事も堅実にコツコツと積み上げて、ひとつひとつクリアしていく真面目な優馬くんに、きっと歌舞伎という硬派な世界が合っていたんだろうなと思いました。

あとはもう一つ楽しめた理由として、ジャニーズの世界観と似ていることが挙げられる気がしました。
とにかく派手で豪華で煌びやかなところも、頭で考える楽しさではなく、目で見て耳で聞いて感覚で感じて、アドレナリンがドバドバでる楽しさもすごく似ていた。
物語ももちろん大切なんですけど、なんか楽しい!なんかすごい!それだけの感情で楽しめる軽やかさも魅力としてあって、エンターテイメントだなと思いました。
優馬くんもきっとどこか知ってる、みたいな感覚絶対あったと思う(笑)そう考えると優馬くんが今までやってきた仕事とあまり変わりないのかもしれません。
まあ私が知ってる歌舞伎はABKAIだけなので、総じてそうなのかは分からないですけど(笑)
でも歌舞伎~入門編~としては本当にピッタリで、先入観としての「お堅い娯楽」というイメージを払拭できるだけでも相当意味のある試みだなあと、歌舞伎初心者は思いました。

それからやっぱり海老蔵さんがすごかった!スーパースター様、超かっこいい!!!!と思わずにはいられない圧倒的オーラが素敵でした。
仕草ひとつひとつに色気があるし、表情ひとつひとつに男気もあるし、立ち回りひとつひとつに繊細さもあるし、他にも見得を切るときの迫力も、ねぶたの上に立つ豪快な立ち姿も、本当にぜんぶ完璧なお方だった…!
こんなかっこいい方と優馬くんが背中を合わせ、剣を交えているという現実に何度震えたか。優馬くんにとって本当に貴重な経験だし、さらに私は今貴重な機会を目にしているんだと実感し、本当に幸せでした。

だからこそ、そんな海老蔵さんが「人生で一番泣いた日です」と綴る現実の非情さに胸がすごく痛んで。あんなに堂々と舞台に立つ人もひとりの人間で、大切な人を失う悲しみをこらえ舞台に立たなければいけないんだと、そしてあの堂々たる海老蔵さんを支えていたのはたったひとつの命だったんだと、あの海老蔵さんを見たからこそより一層我慢できない哀しみがありました。
そして海老蔵さんが一番大変だったのは、分かり切ったことだけど、きっと同じ舞台に立つ演者の皆様にとっても、いろんな葛藤と踏ん張りがあったんだと思います。
舞台に立ってくれるのは当たり前ではなく、色んなものを背負いながらも届けている人がいること、今回のことで身に染みて感じました。
何があっても舞台に立ち続け、いつもと変わらないものを届ける、そういう場所であり、そういう世界であることは時に非情ではありますが、役者側がその責任を果たそうとする以上、私たちはその人が舞台に立つ限りきちんと見届けることが唯一出来ることなんだと思います。
だからどうか。あれからもずっと舞台に立ち続ける海老蔵さんが、ずっとずっと多くの人が憧れる、スーパースターで在り続けますように。
本当にお疲れ様でした!
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ここからは、あまりABKAI自体には関係ないかな~と思ったけど、残しておきたいので追伸、的な感じで(笑)
今回のMyojoの海老蔵さんと優馬くんの対談でのことなんですけど、海老蔵さんのお言葉が印象に残っていて。
「まだ23歳で舞台をやっていくという姿勢はたいしたもの。やっぱりどうしても有名になりたいから連ドラとか、そっちのほうがいいんじゃないかと思いそうだけど、自分というものを見定めて、会社の方針も理解して、こういう現場にいるわけでしょ」
この言葉を聞いたときすごいなーと思って。そこまで背景を読める人なんだなって純粋にすごくびっくりして。そしてしっかり優馬くんを見てくれているんだなあと少し嬉しかったんです。
確かに優馬くんはあまりテレビに出演しないし、舞台の現場が圧倒的に多いけど、やっぱりちゃんと意図があったのだなあと腑に落ちたというか。
それが優馬くんの意思なのか、会社の方針なのかは分からないけど、どちらにせよ長いスパンで時間をかけて力をつけようとしているんだなと感じました。
だから今優馬くんがしてることって、長い目で見ると絶対無駄なことじゃないと思うし、絶対やってて良かったって思えることなんじゃないかな。いっぱい踏み込んだ人って上がる時にすごい力で飛べると思うから、その時のことを思うと純粋にすごく楽しみです。
その間は少し物足りなく感じたり、焦りを感じたりもするかもしれないけど、真面目な優馬くんならきっと報われるだろうなあと変に自信があります(笑)
そしていろんな力を蓄えてる最中の大事な時期に、このABKAIに出演出来たのだなと思うと感慨深い……。
デビューから今までずっと忙しなく駆け抜けてきた分、ソロ活動を始めてからのここ2、3年は割としっかり地に足つけて進んでるような気がするので、やっと優馬くんのペースで歩ける日が来てるんだなあと思います。
だからこのまましっかり進んでくれるといいなあ。
次の「にんじん」も楽しみにしています。