君の名は希望

優馬くんの名前は希望と今 知った

自担が退所を考えていた話

毎月第一金曜日に掲載されるスポーツ報知の連載に、優馬くんの番が回ってきた。
ジャニーズタレントを対象にしたインタビュー記事で、話題は主に優馬くんが出演する舞台「ABKAI2017」と「にんじん」のことについてだった。
優馬くんはこういうインタビューで、ファンが知らなかったことについてポロっと漏らす節がある。
今回も例に漏れずそれだったんですけど、いつもより印象的だったのでつい考え込んでしまったんですよね。

インタビューにはこう書いてあった。

俳優を目指すようになってからは、ジャニーズ事務所を退所しようと考えた事もあったという。
「今はもちろん事務所にすごく感謝していますけど、入る事務所を間違えたんじゃないかと思ったり。でも、そのとき家族に言われたんですけど「俳優の事務所に入っても、なかなか俳優業をするのは難しい。今の事務所にいれば、俳優になる道も近道としてあるんじゃないか」って。そうだなって思って、この事務所のまま俳優をやっていきたいと思うようになった。」

優馬くんはつくづく素直で誠実で、嘘のつけない人だなあと思った。自分を良く見せようと言う欲がないというか、あくまでも飾らない自然体な人で。
その素直さが時々痛々しく見えたり、胸がえぐられたりするんだけど、優馬くんが見えない時にはその素直さに安心する時もあって。
こういうことって今回だけじゃないんですよね。何回もあるし、毎回覚えている。そう思うと、優馬くんってずっと変わらないなって。
昔から素直で良くも悪くも嘘のつけない、アイドルには決して向いているとは言えない性格。最初はそう思っていたんだけど、素直であってもあの時そう思っていたんだって後から知ることが多くて、しかも事実として淡々と語るのが優馬くんのクセだと気付いた時、とてもプロだなとも思った。
優馬くんの場合いろいろ特殊だから言いたくても言えないこととかたくさんあると思うけど、ファンの知りたいっていう欲望をきちんと後からでも満たしてくれるし、自分の思いとして残してくれるからアイドルとして誠実な人だなと思う。
まあ素直すぎるから知らない方が良かったことも、知りたかったこともどちらも受け取れてしまうんだけど(笑)
でもそういう全部伝えちゃう不器用なところもすごく人間ぽくて好きだったりもする。

ただ今回のこのインタビュー記事は、正直自分でも知りたかったのか知りたくなかったのか分からない。
一番近いので言うと、知りたかったけど知るのが怖いから知りたくなかった、がたぶん正しい。
でも優馬くんが正直に話したからこの際ちゃんと自分でも考えてみようかなと思って。

私は、かれこれ小学生の時から優馬くんを応援している。
そして大学生になったいまもヲタクなわけだが、もはやここまで来ると生活の一部になっているし「ジャニヲタ」は私を構成するアイデンティティーのひとつとさえ思えてくる。
でも、優馬くんがソロ活動を始めて、俳優業に力を入れるようになってから何度も考えた事がある。
優馬くんにジャニーズ事務所という場所は合っているのだろうか。」……本当に何度も思った。
俳優がやりたいんだったらここじゃない場所がもっとあるんじゃないか、他だったら優馬くんのやりたいことがもっと出来るんじゃないかって、今の場所を窮屈に思うのだ。
その度に思いだすのは、優馬くんの言葉だった。ソロコンのオーラスで照れながら「ジャニーズ事務所に入って良かったと思っています」と言った言葉だ。
その言葉はきっと本心だったのだと思う。本当に恥ずかしそうにこっそり教えてくれた優馬くんが本当に愛しかったし、誇らしかった。
ちゃんと信じられる顔をしていた。心の底からそう思っている、そんな顔だった。きっと今も、そう思っている。
だから窮屈に思って、ここでいいんだろうかって心配する度に、あの時の顔を思い出してはあの優馬くんを否定したくないって思ってきた。
だけどほんの一瞬でも、優馬くんも退所について考えたことがある、それを知っただけで私は胸が痛くてしょうがなかった。
そうか。優馬くんも考えたことあるんだ。いつの話だろう。いつ、そんなことを思いながら仕事をしていたんだろう。
そうやって今までの優馬くんを思いだして、あの時だろうか、この時だろうか、いろいろ考えを巡らせてしまう。
だから知りたくなかったのかもしれない。だから怖かったのかもしれない。

そして、もし、本当にやめていたらどうだっただろうか、とも考えた。
優馬くんがジャニーズじゃなくなる。そうなったとき、私の中で何か変化は起きるだろうか。
答えはたぶんノーだ。何も変わらない。
ジャニーズだから優馬くんが好きなのか、そう考えるとはっきりしてくる。別にそうじゃない。
私はただ、中山優馬が好きだ。優馬くんが歌おうと、踊ろうと、お芝居しようと、どこの事務所にいようときっと同じだと思う。
私は優馬くんがジャニーズじゃなくても、きっと違うどこかで好きになっていたと思う。応援していたと思う。
ジャニーズも、アイドルも大好きだし、生活に潤いを与えているのは間違いなくジャニーズだけど、それはそれで。
好きになったきっかけもアイドルをしていた優馬くんだったけど、それでも。
あくまでも優馬くんの「ジャニーズ事務所所属」は、今の私にとって付属品でしかなくて。いろんなもの取っ払うと、ヲタクとして大切なのは優馬くんだけだ。
だからたぶんあの時、優馬くんが家族に相談する前に退所を決めていたとしても、私は変わらなかっただろうなと思う。
もちろんアイドルの優馬くんも大好きだし、歌って踊るアイドルという職業も大好きだ。だから惜しくなるし寂しいとも思うし、もったいないとも確実に思うけど、だけど結局いちばん好きなのは優馬くん自体なのだなあと、今回この記事を読んだときに思った。
アイドルが好きの前に、ただ単に優馬くんが好きという感情の方が先にくるようになった自分に気付いたときはちょっと不思議な気持ちだった。
アイドルとして見つけた優馬くんを好きになったはずなのに、ね。
そしてヲタクって意外と単純な感情で動いているんだなあと思わされた。
もちろんファンにもいろんなスタンスがあると思う。アイドルじゃなきゃ意味がないって人もいるだろうし、アイドルだから好きだっていう気持ちもすごく分かる。なんなら私もそのタイプだと思っていた。それくらい私にとって「アイドルであること」は大きい意味を持っていたし、アイドルに対して尊さだったり憧れを抱く気持ち自体が好きだった。アイドルってすごいんだって思わされる瞬間が好きだった。
でも私はいつの間にかそういうアイドルを応援する事の魅力を優馬くんで感じられなくなっても、好きで居続けられるようになっていたんだなと知った。
優馬くんが言ってくれて初めて気付いた。
今回この事に気付けたのは自分にとってすごく大きかったなあ……

それから、きっと「退所」ってすごくナイーブな話だと思うし、所属するタレントは誰もが一度は必ず頭をよぎるんだろうなと思う。
特にジュニアは切っても切れない話だと思うし、現に私も長いジャニヲタ生活のなかで何人もの子がステージを降りるのを見てきた。
本当に突然、辞めますも辞めましたもなくいなくなっている、この決断はその子自身にとってもその子のファンにとっても耐えがたい怖さだろうなと思う。
ただ優馬くんは入所して割とすぐ最前線に立たされ、あれよあれよとデビューしたから、ジュニアと言える期間は決して長くなかった。
だからきっと「退所」についてあまり考える時間もなかったんだろうなと思う。考える時間もないまま大人になって、気付けばジャニーズWESTもデビューし、ソロ活動をするようになってじっくり考える時間が出来て。その時初めてここで良かったんだろうかと立ち止まったんだとしたら、やるせないなあとも思う。
もうここまで来ちゃったら後に引けないってのも絶対あったと思うから。優馬くんがジュニアだったら、もしくはもうちょっとじっくり成長できる場があれば、もっと「退所」について柔軟に考えられたし、活躍できる場所は他にもきっとあるよって思えたのに。
でも今やジュニアだけの問題でもなくなって、デビューした未来が約束されていると思っていたタレントですら、辞めていくのが現実だ。
決して優馬くんだけに言えることじゃないし、優馬くんだけの問題でもない。それくらい誰にでもありえる話になっている。
ただデビュー組の場合はより「ジャニーズ」として芸能界で認識されることが多い点で、退所した後のことも慎重に考えなくてはいけないし、余計に退所は大きな問題だろうなと思う。
それでも退所を考えた優馬くんは、どれほど悩んだのだろう。どれほどいろいろ考えたのだろう。

それを思うと私はこの話を、そうだったんだ、と簡単に流せない。
たぶんずっと思い出すし、今はそうじゃないかなとずっと考えてしまう。
でもやっぱり知れて良かったと思う。そんな時もあったんだって怖くなったけど、知らない方がもっと怖かったと思うから。
何も知らないまま、もし退所していたら、と思うとゾッとする。
(まあ今回のは退所しなかったから言えた言葉でもあるとは思うんだけど)
それに知ったからこそ、いま優馬くんがジャニーズ事務所に所属していることの重さも知れた。
優馬くんが事務所に残って俳優をすることを決めたのであれば、私もその挑戦を応援したいし、優馬くんがこの先、この事務所だから出来たんだっていう仕事にたくさん出会えたらいいなと思う。
そうやって優馬くんと一緒にジャニーズ事務所にいる意味をいっぱい見つけていきたいなと思う。
そしていつかこんな素直で不器用で嘘のつけない人が、成功する世界を見てみたいなと思います。